マクベスエバンス グラスウェアの歴史
マクベスエバンスは、1930年代にディナーウェアのラインナップを展開し、ディプレッションガラスの時代に人気を博したブランドです。
Macbeth-Evans Glass Companyは、ランプのホヤを製造していたThomas EvansとGeorge A. Macbethの会社の合併により1899年に設立されました。
ランプのホヤという薄いガラス製品を製造していた会社同士の合併が、マクベスエバンスの魅力の原点になります。
合併の前、1870年代にはランプのホヤのトップを装飾することが人気となっていました。
Thomas Evansの親会社は、ホヤのトップをpie crust(パイの皮)のように縁取るウエーブをかける装置の特許を獲得していました。
また、George A. Macbethは、ホヤのリムをガラス玉や真珠で飾り付ける”Pearl Top”という特許を持っていました。
創業後も買収と合併を行なってランプのホヤのトップ企業となったMacbeth-Evans Glass Companyは、産業用や実験用のガラスなど、製品のすそ野を広げていきます。
1920年代末期にはテーブルアイテムにも進出し、
1929年:
●Dogwood(別名Apple BlossomまたはWild Rose 1932年生産終了)
●Thistle(1930年生産終了)
1930年:
●S-Pattern(別名Stippled Rose Band 1933年生産終了)
●American Sweetheart(1936年生産終了)
●Petalware(1940年代末期生産終了)
と主要パターンが登場します。
当初はカラフルなディプレッションガラスでスタートしましたが、1932-33年頃、マクベスエバンスが照明器具用に造ったMonax(モナックス)をテーブルウェアにも展開します。
ファイヤーキングの人気が始まる1940年代以前に造ったこのミルクガラスによって、マクベスエバンスの名は一躍有名になります。
マクベスエバンスのミルクガラスの魅力は、ホヤの製造で培った技術が生み出す薄いガラスの透明感と装飾性の高いデザインにあります。
薄さがもたらす透け感は、ファイヤーキングのホワイトマグのそれとは異なり、背景や光の反射によってさまざまな表情を見せてくれます。
また、Monaxの(半透明の)Translucent whiteは、Milk glassの真っ白なwhiteと厳密には異なる『落ち着いた乳白色』が特徴です。
ミルクガラス全盛の1950年代-70年代にはすでに生産が終わりヴィンテージ品であったマクベスエバンスは、アメリカでもその価値を高く評価されているグラスウェアです。
Macbeth-Evans Glass Companyは、1937年にCorning Glass Worksによって買収され、ペタルウェアを除いてMacbeth-Evansブランドは終了します。
ここでは、マクベスエバンスの代表的なパターンであるアメリカンスウィートハートとペタルウェアをご紹介します。
■アメリカンスウィートハート(American Sweetheart) 1930年-1936年
手の込んだデリケートなデザインと買収後は製造終了となったことから、マクベスエバンスの代名詞的存在です。
ファイヤーキングが家庭や業務用の日常使用を目的としたグラスウェアを製造したのに対し、マクベスエバンスはその透け感の美しさとデザイン性から、インテリアガラスとしてのポジションも確立しており、カトラリー痕などの使用感が無いものも少なくありません。
ディプレッションガラスとして造られたPinkカラーと、ミルクガラスのMonaxが代表カラーで人気を二分しますが、Monaxのプレートにはセンターにデザインがあるタイプと無いタイプがあります。
ディナーウェアシリーズとして幅広く展開されましたが、Pinkのタンブラーとピッチャー、PinkとMonax のスープボウルはアメリカで高額アンティークとして扱われています。
■ペタルウェア(Petalware) 1930年-1940年代末期
1937年にCorning Glass Worksに買収された後も、コーニング社のマクベスエバンス部門によってペタルウェアだけは1940年代末期まで生産されました。
従って、マクベスエバンスの中では唯一、20年近い製造期間を持つパターンです。
1930年の発売当初はCrystalとPinkカラーで造られましたが、1933年頃、Monaxをラインに加えます。
1930年代半ば、ペタルウェアはカラーのバリエーションを増やしていきますが、コーニング社の傘下に入った後の1939年、当時のカタログで”Ivrene”と名付けられた『アイボリーのMonax』の生産を始めます。これが現在のCremax(クレマックス)です。
その後CremaxやMonaxに様々なデコレーションを施しますが、ピンク、グリーン、ブルーなどのパステルカラーバンドがデザインされたPastel-bandedペタルウェアも造ります。
Pastel-bandedペタルウェアは製造期間の短さに加え、一目で魅了するデザイン性からアメリカでも'特別なPetalware'として扱われています。
1940年代末期には、ハンドペイントで鳥や花、フルーツなどを描いたプレートが造られ、また、クリスマスデコレーションや広告、記念品としても活用されますが、Fire-Kingブランドの末期にシェルが果たした役割と同じ、という点も興味深いですね。
(参考文献)
・Ellen T. Schroy. Warman’s Depression Glass 5th Edition. Krause Publications, 2009, 303p
・”a brief historical profile of Macbeth-Evans Glass Company”. The Lampworks. http://www.thelampworks.com/lw_companies_macbeth.htm, (参照2018-6-20)
・Kathy Eickholt. ”MacBeth Evans American Sweetheart”. National Depression Glass Association. http://www.ndga.net/articles/eickamsweetheart.php, (参照2018-6-20)
・Rosemary Trietsch. ”Collecting Petalware”. Just Glass. http://www.justglass.com/documents/articles/inhouse/rt104.html, (参照2018-6-20)
マクベスエバンスは、1930年代にディナーウェアのラインナップを展開し、ディプレッションガラスの時代に人気を博したブランドです。
Macbeth-Evans Glass Companyは、ランプのホヤを製造していたThomas EvansとGeorge A. Macbethの会社の合併により1899年に設立されました。
ランプのホヤという薄いガラス製品を製造していた会社同士の合併が、マクベスエバンスの魅力の原点になります。
合併の前、1870年代にはランプのホヤのトップを装飾することが人気となっていました。
Thomas Evansの親会社は、ホヤのトップをpie crust(パイの皮)のように縁取るウエーブをかける装置の特許を獲得していました。
また、George A. Macbethは、ホヤのリムをガラス玉や真珠で飾り付ける”Pearl Top”という特許を持っていました。
創業後も買収と合併を行なってランプのホヤのトップ企業となったMacbeth-Evans Glass Companyは、産業用や実験用のガラスなど、製品のすそ野を広げていきます。
1920年代末期にはテーブルアイテムにも進出し、
1929年:
●Dogwood(別名Apple BlossomまたはWild Rose 1932年生産終了)
●Thistle(1930年生産終了)
1930年:
●S-Pattern(別名Stippled Rose Band 1933年生産終了)
●American Sweetheart(1936年生産終了)
●Petalware(1940年代末期生産終了)
と主要パターンが登場します。
当初はカラフルなディプレッションガラスでスタートしましたが、1932-33年頃、マクベスエバンスが照明器具用に造ったMonax(モナックス)をテーブルウェアにも展開します。
ファイヤーキングの人気が始まる1940年代以前に造ったこのミルクガラスによって、マクベスエバンスの名は一躍有名になります。
マクベスエバンスのミルクガラスの魅力は、ホヤの製造で培った技術が生み出す薄いガラスの透明感と装飾性の高いデザインにあります。
薄さがもたらす透け感は、ファイヤーキングのホワイトマグのそれとは異なり、背景や光の反射によってさまざまな表情を見せてくれます。
また、Monaxの(半透明の)Translucent whiteは、Milk glassの真っ白なwhiteと厳密には異なる『落ち着いた乳白色』が特徴です。
ミルクガラス全盛の1950年代-70年代にはすでに生産が終わりヴィンテージ品であったマクベスエバンスは、アメリカでもその価値を高く評価されているグラスウェアです。
Macbeth-Evans Glass Companyは、1937年にCorning Glass Worksによって買収され、ペタルウェアを除いてMacbeth-Evansブランドは終了します。
ここでは、マクベスエバンスの代表的なパターンであるアメリカンスウィートハートとペタルウェアをご紹介します。
■アメリカンスウィートハート(American Sweetheart) 1930年-1936年
手の込んだデリケートなデザインと買収後は製造終了となったことから、マクベスエバンスの代名詞的存在です。
ファイヤーキングが家庭や業務用の日常使用を目的としたグラスウェアを製造したのに対し、マクベスエバンスはその透け感の美しさとデザイン性から、インテリアガラスとしてのポジションも確立しており、カトラリー痕などの使用感が無いものも少なくありません。
ディプレッションガラスとして造られたPinkカラーと、ミルクガラスのMonaxが代表カラーで人気を二分しますが、Monaxのプレートにはセンターにデザインがあるタイプと無いタイプがあります。
ディナーウェアシリーズとして幅広く展開されましたが、Pinkのタンブラーとピッチャー、PinkとMonax のスープボウルはアメリカで高額アンティークとして扱われています。
■ペタルウェア(Petalware) 1930年-1940年代末期
1937年にCorning Glass Worksに買収された後も、コーニング社のマクベスエバンス部門によってペタルウェアだけは1940年代末期まで生産されました。
従って、マクベスエバンスの中では唯一、20年近い製造期間を持つパターンです。
1930年の発売当初はCrystalとPinkカラーで造られましたが、1933年頃、Monaxをラインに加えます。
1930年代半ば、ペタルウェアはカラーのバリエーションを増やしていきますが、コーニング社の傘下に入った後の1939年、当時のカタログで”Ivrene”と名付けられた『アイボリーのMonax』の生産を始めます。これが現在のCremax(クレマックス)です。
その後CremaxやMonaxに様々なデコレーションを施しますが、ピンク、グリーン、ブルーなどのパステルカラーバンドがデザインされたPastel-bandedペタルウェアも造ります。
Pastel-bandedペタルウェアは製造期間の短さに加え、一目で魅了するデザイン性からアメリカでも'特別なPetalware'として扱われています。
1940年代末期には、ハンドペイントで鳥や花、フルーツなどを描いたプレートが造られ、また、クリスマスデコレーションや広告、記念品としても活用されますが、Fire-Kingブランドの末期にシェルが果たした役割と同じ、という点も興味深いですね。
(参考文献)
・Ellen T. Schroy. Warman’s Depression Glass 5th Edition. Krause Publications, 2009, 303p
・”a brief historical profile of Macbeth-Evans Glass Company”. The Lampworks. http://www.thelampworks.com/lw_companies_macbeth.htm, (参照2018-6-20)
・Kathy Eickholt. ”MacBeth Evans American Sweetheart”. National Depression Glass Association. http://www.ndga.net/articles/eickamsweetheart.php, (参照2018-6-20)
・Rosemary Trietsch. ”Collecting Petalware”. Just Glass. http://www.justglass.com/documents/articles/inhouse/rt104.html, (参照2018-6-20)
CATEGORYカテゴリー
CALENDARカレンダー
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
ブルーは休業日です。